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2025年九州の不動産市況

今回は九州経済指標を基に、不動産市場の予測と資産運用を行う我々管理会社向けの対策などについて各県「県民経済計算」、内閣府「国民経済計算」等より分析したいと思います。

九州の経済的特徴としては、熊本の半導体工場に代表されるように大型設備投資が行われました。現在は一服しておりますが、今後順次、本格生産に移行する予定となっております。半導体関連のニュースを良く目にした2024年ですが、25年の世界半導体市場では前年比+11.2%の6,970億ドルと推計されており、世界経済の緩やかな成長を背景にすべての種類の半導体でプラス成長とされており、九州においても鉄工業生産指数の上昇、輸出の増加が見込まれています。※世界的に見ても2024年秋季半導体市場予測(WSTS世界半導体市場統計)

その他の特徴としては、民間企業の設備投資が前年比2.8%の上昇が予測されています。今や深刻な状況となっている人手不足やびっくりするほど高騰した建設資材を背景に工期の遅れや計画延期が抑制要因として働いているものの、引き続きプラス成長と見られています。不動産投資市況においても建設資材の高騰は、初期投資額に多大なる影響を与えてしまうため、最低表面利回り7.0%以上を新築の企画目標に掲げている弊社にとっては今年も厳しい1年になるでしょうが、インカム収益を安定させて物件の価格変動が多少推移しても確実なキャピタルゲインを得るための事業を今年も妥協なく推進して参ります。

●民間消費についてはどうでしょう?


民間消費は前年度比+1.1%と予測されています。コロナ禍以降の直近3年間で最も高い成長率となります。足下では賃上げが進んでおり、九州8県における24年第2四半期・第3四半期の一人当たり現金給与総額は」それぞれ前年同期比+5.3%、+6.1%と高水準の上昇が続いています。人手不足の影響もあるため25年度も引き続き給与の賃上げが進むと考えられます。一方で、消費マインドは弱いというデータもあります。総務省「家計調査」をみると九州の消費支出は前年から横ばいであり、そのうち必要財以外を含む部門はマイナスと、物価上昇の影響を受けた消費者の買い控え傾向はうかがえます。25年は円高・ドル安が見込まれて物価上昇が緩和される?との予測もありますが・・どうなるのでしょうか。注視して参りましょう。

●不動産市況への影響

近年の住宅開発や投資物件の供給過多の反動需要が一巡したように感じております。戸建住宅に携わる方々からも新設住宅着工戸数の減少を意識したご発言も耳にするようになってきました。人件費、資材高騰も影響していると言えます。こうした中で賃貸・売買市場ではどのようなものが求められるのかを分析してみたいと思います。

●賃貸市場

賃上げを背景に賃料水準が安定または緩やかに上昇する可能性があります。需要は都市部。福岡であれば天神・博多を中心に香椎・春日などの開発エリアにも波及し、須恵、油山、大野城市あたりは要観察。さらに郊外に立地した物件は空室率増加リスクをにらみながらリーシング対策を行う必要があるように考えております。賃貸管理業務でも人手不足対策のためにDX投資を推進し業務の効率化なども積極的に進めていく必要があると㈱アチーブメントプラスは考えております。

●売買市場

住宅需要がゆるやかな減少に転じている印象を持ちます。価格競争が少なからず激しくなっていく可能性があります。先行き不透明感から投資目的の物件への関心が高まりながら、築浅の物件を探すというのではなく、比較的にも低価格で購入が可能な物件の取得とリノベーションなどによる価値向上などのニーズも高まると見ております。

●投資に携わる当社の2025。

賃貸市場における価値の向上を目指して、築年数が経過した建物に付加価値の向上を目指した設備の追加(ローコストできるものを中心に提案)リフォームの提案(物件の魅力を向上させていく仕様へのこだわり)を推進して参ります。このほかには、賃料査定の適正化です。市場データを活用して賃料水準を再検討していきます。また入居者募集・契約進捗管理・迅速なサービスリクエストなどの社内情報管理を積極的にDXを活用した管理業務の効率化にも取り組んでまいります。

●最後にまとめ

2025年の九州不動産市場は、経済成長と賃上げが追い風になる一方、住宅投資の低迷や空室率の課題も予想されます。不動産賃貸・売買業者はデジタル化や市場ニーズの変化を捉えた柔軟な戦略が求められます。地域特性を活かした効率的な管理・営業体制を築くことで、中長期的な収益改善を目指すべきだと考えます。